月島樹は秋山直子だけを見つめて、何も言わなかった。
宮本恵は月島樹の手を振り払い、前に二歩進んだ。少しよろめいたが、それでも平然と自分のベッドの側まで歩いた。
そして微笑みながら、頭を傾げて秋山直子を見た。「ほら、私は何ともないわ、大丈夫よ。この足はもともと不自由だったでしょう、あなたも知ってるはず。切断するかどうかなんて、実はたいした問題じゃないわ……」
たいした問題じゃない?
宮本家の人がどれほど誇り高いか、秋山直子が知らないはずがない。
彼女は表立っても裏でも、宮本恵の両足のためにどれほど心を砕いてきたことか。その足が日に日に良くなっていくのを見てきたのに。
こんな時に……
秋山直子はベッドの上にあった診療カードを手に取り、上から下まで再度確認した。最後に、手を上げてベッドの上に置いた。