208徳田さんの後継者、大物が動き出す（三更）

同じ東京の小さな胡同に住んでいる者として、神崎執事がどうして自分の主人と同じ地位にある大物の徳田さんを知らないわけがあろうか？

驚いたのは、千葉のような場所で徳田さんを見かけるとは思ってもみなかったからだ。

もしかして千葉は人材の宝庫なのだろうか？

神崎執事は密かに考えた。

徳田校長は神崎執事に頷き、ついでに上着を脱ぎながら、「お邪魔します」と言った。

「徳田さんがいらっしゃるとは思いませんでした」神崎執事は徳田さんの上着を脇に掛け、恭しく答えた。「すぐに若様をお呼びしてまいります」

そして階段を上がって神崎深一を呼び、お茶を入れに行った。

神崎執事がお茶を二杯持って戻ってきたとき、神崎木も戻ってきていて、丁重に鉢植えの花を持っていることに気づいた。

神崎深一はその花を一瞥し、テーブルに置かれたお茶を手に取ったが、飲まずに手で温めるように持っていた。