花壇の中で、秋山直子はまだ内堀隊長と話していた。
二人が数言葉を交わしたところで、神崎水がやってきて、敬意を込めた口調で言った。「秋山さん、車の準備ができました。出発できますよ。」
秋山直子は手にしていた水筒を神崎水に渡し、帽子を引き上げて「うん」と返事をした。
神崎木の訓練はもう終盤に入っており、秋山直子が見守る必要もなくなっていた。
「それから、これも。さっき神崎木があなたに渡すように言っていました」神崎水は秋山直子の一歩後ろから、手にしていたノートを彼女に差し出した。
これは秋山直子が志賀明に記録させていた、神崎木の薬の服用による全体的な変化の過程だった。
秋山直子は手を伸ばしてそれを受け取り、ぱらぱらとめくってから正門の外へ向かって歩き始めた。
彼女は黒いコートを着て、本を手に持ち、いつも使っているバックパックも持っていた。それも神崎水がさっき秋山直子に渡したものだった。