248大物たちの交情、東京へ(一更)

彼女はイヤホンをつけながら、ボイスチェンジャーをオンにした。

このイヤホンは以前、長野誠たちと一緒に使っていたものだ。

長野誠たちとの関係が明るみに出た後は、もうボイスチェンジャーを使わなくなった。機械音は市販のものと変わらず、感情のない機械的な声だった。

マシューの方はいつも直接的で、彼の声はやや低く響く。「前回言ったことについて考えてくれたか?」

「考える必要はないわ」秋山直子はカーテンを開け、窓の外を見た。

マシューの声が一瞬止まった。「我々に加わっても悪くないだろう。世界中、アメリカも含めて、好きなように動き回れるぞ」

「あなたたちがいなくても自由に動けるわ。あなた、私を捕まえたことある?」秋山直子は淡々と言った。機械音に電流音が混ざり、マシューの耳を痛めた。