道中の花に悩まされ

　秋山直子。田舎育ちで、1年間の行方不明者になり、休学を経て千葉県の名門高校に編入したばかりの、どこか影のある少女。
実母に引き取られた先の新しい家族は、名家の継父、天才と名高い義兄、成績優秀な義妹と、きらびやかな面々。「あの子達の顔に泥を塗らないで」――実母の言葉が、直子の肩に重くのしかかる。

そんな彼女の婚約者は、神崎深一。気だるげな雰囲気とは裏腹に、東京の経済界にも影響力を持つ大富豪の御曹司だ。
彼は周囲にこう紹介する。「俺の直子は、田舎者で世間知らずなんだ。経済のことも疎いし、ちょっと気難しいけど……まぁ、みんなよろしく頼むよ」
だが、それは彼なりの優しさなのか、それとも――？

ある日、深一が追っていた某大物の調査の過程で、彼の有能な部下が偶然衝撃的な事実を発見してしまう。それは、深一が「何も知らない」と言っていたはずの直子の、信じられないような「隠された一面」だった。
（……え、奥様、一体何者なんですか！？）部下は驚愕のあまり、思考が停止する。

これは、お互いの「とんでもない素性」を隠し合うカップルの物語。彼らが秘密を打ち明ける時、何が変わるのでしょう？



二人の隠しこと

すべてが突然起こりすぎて、森田優子は茫然自失して秋山直子の方を見つめ、まるで麻痺したようだった。


このパーティーに来たとき、彼女は秋山言葉から結城先生とその弟子について聞いていた。そして桑原陽太の後ろについて行くと、多くの人がそのことに言及するのを耳にした。


その後、森田優子はあの秋山直子が自分の知っている人と同一人物だとは思わなくなっていた。


今になって、桑原陽太の一言が彼女を現実に引き戻した。


森田優子はほとんどつぶやくように口を開いた：「結局、結城先生の弟子は本当に彼女だったの？」


この一言で、桑原陽太は森田優子が秋山直子を知っていることをさらに確信した。彼は思わず目を細め、非常に残念そうな口調で言った：「あなたたちが知り合いだと分かっていれば、最初からあなたたちに直接連絡していたのに。結城先生に先を越されることもなかったのに……」


285 逆天の直子さん（二更）