道中の花に悩まされ

　秋山直子。田舎育ちで、1年間の行方不明者になり、休学を経て千葉県の名門高校に編入したばかりの、どこか影のある少女。
実母に引き取られた先の新しい家族は、名家の継父、天才と名高い義兄、成績優秀な義妹と、きらびやかな面々。「あの子達の顔に泥を塗らないで」――実母の言葉が、直子の肩に重くのしかかる。

そんな彼女の婚約者は、神崎深一。気だるげな雰囲気とは裏腹に、東京の経済界にも影響力を持つ大富豪の御曹司だ。
彼は周囲にこう紹介する。「俺の直子は、田舎者で世間知らずなんだ。経済のことも疎いし、ちょっと気難しいけど……まぁ、みんなよろしく頼むよ」
だが、それは彼なりの優しさなのか、それとも――？

ある日、深一が追っていた某大物の調査の過程で、彼の有能な部下が偶然衝撃的な事実を発見してしまう。それは、深一が「何も知らない」と言っていたはずの直子の、信じられないような「隠された一面」だった。
（……え、奥様、一体何者なんですか！？）部下は驚愕のあまり、思考が停止する。

これは、お互いの「とんでもない素性」を隠し合うカップルの物語。彼らが秘密を打ち明ける時、何が変わるのでしょう？



二人の隠しこと

有栖川開はキャンパスネットワークを開き、自分の学籍番号を入力し、パスワードも入力した。


システムは少し遅く、2秒後にようやくキャンパスネットワークのホームページに入ることができた。有栖川開は成績の欄に直行し、自分の成績をクリックした。


成績は上から下へと並んでいた。


他のごちゃごちゃした科目は見なかった。彼は主要な専門科目の3つだけを見た。


自分が自動化工学科で最も成績が悪いことは認識していたが、41点という高等数学の成績は、それでも深く彼を刺激した。


彼は視線を戻し、他のルームメイトのところへ慰めを求めに行った。


他の二人のルームメイトの高等数学の成績が一人は55点、もう一人は51点だと聞いて、有栖川開は突然バランスを取り戻した。


346 二ヶ月ぶりに、秋山直子が再び東大を席巻する（三更）