349 大佬は何処にいても大佬(三更)

現場では秋山蓮と彼のマネージャー以外、誰も秋山直子に会ったことがなく、彼女の容姿を知らなかった。

昨夜、監督は秋山蓮のマネージャーから名優秋山の姪が美人だと聞いていた。

さすが名優秋山の親戚だ。名優秋山のあの美貌を見れば、彼の姪もきっと美しいだろうと想像できる。

しかしドアが開き、中から出てきた人影を見た瞬間、現場の全員が静まり返った。

名優秋山に指示を出すためのボードを持っていた監督さえも、その場に立ち尽くした。

秋山直子は今日も白いパーカーを着ていた。内側は起毛素材で、外のコートは着ておらず、フードもかぶっていなかった。秋山蓮はエンターテイメント業界で有名な美男子だが、彼の顔立ちはやや硬い印象がある。

秋山直子は全く異なっていた。彼女の顔立ちは秋山蓮よりもずっと繊細で、アーモンド形の瞳は漆黒で深遠、冷たい光を放っていた。肌は極めて白く、まるで霞がかかったような輝きを纏い、眉間の気品が彼女のやや柔らかな顔立ちと相まって、より一層冷艶な印象を与え、一般人には強烈なインパクトを与えた。