来た人の姿は背が高かった。
光を背にして歩いてきて、少し近づいた。
ホールにいた人々は皆、それが徳田辰だと分かった。早應大学の今年の有望選手で、三年前に研究室の責任者に弟子入りしていた。
葛城院長はすぐに立ち上がり、徳田辰の手を見つめた。「終わったか?」
徳田辰の表情はやや無言だった。彼は何も言わず、右手を差し出し、掌のカードを見せた。
真っ黒なカードで、中央に雪のような「A」が刻まれていた。
「よくやった」葛城院長はそれを見て、眉間に自然と誇らしさが滲んだ。彼は咳払いをし、顔から喜びを抑えつつ、徳田辰の肩を叩いた。
今日の実験審査の二人の教師はAカードを早應大学の方に置いた。
そして早應大学に90点を記録した。
さらにコンピューターに徳田辰の点数を入力した。
「Aランク実験?」審査教師の動きで、現場の他の人々も徳田辰のAカードを見て、騒ぎが起こった。