382東大bug.苒(五更)

来た人の姿は背が高かった。

光を背にして歩いてきて、少し近づいた。

ホールにいた人々は皆、それが徳田辰だと分かった。早應大学の今年の有望選手で、三年前に研究室の責任者に弟子入りしていた。

葛城院長はすぐに立ち上がり、徳田辰の手を見つめた。「終わったか?」

徳田辰の表情はやや無言だった。彼は何も言わず、右手を差し出し、掌のカードを見せた。

真っ黒なカードで、中央に雪のような「A」が刻まれていた。

「よくやった」葛城院長はそれを見て、眉間に自然と誇らしさが滲んだ。彼は咳払いをし、顔から喜びを抑えつつ、徳田辰の肩を叩いた。

今日の実験審査の二人の教師はAカードを早應大学の方に置いた。

そして早應大学に90点を記録した。

さらにコンピューターに徳田辰の点数を入力した。

「Aランク実験?」審査教師の動きで、現場の他の人々も徳田辰のAカードを見て、騒ぎが起こった。