研究所の地下三階、B317室。
秋山直子が研究室のドアに着くと、防護服を着た背の高い女性がドアの前に立っているのが見えた。
彼女は実験器具を手に持っており、秋山直子を見ると少し躊躇してから、声を低くして尋ねた。「あなたが今年、望月教授の研究室に配属された新しい学生?」
研究室に女性の新メンバーが入るのは珍しく、年に二人も入れば良い方だった。しかもこの女性はちょっと綺麗だった。
秋山直子は頷き、彼女も小さな声で言った。「はじめまして、秋山直子です」
礼儀正しい子だ。
「うん、私は柴田祐希。今は望月教授の助手をしているわ」背の高い女性はようやく視線を戻し、一歩外に出た。「まず私と一緒に着替えに行きましょう。望月教授は今とても忙しくて時間がないから、私が一週間ほど研究室に慣れるよう案内するわ」