藤田家のこの若旦那は自問自答した。もし自分だったら、絶対に公然と発表したりしないだろう。
藤田均は彼を一瞥したが、何も言わなかった。
ただ振り返り、木村さんに上階へ行くよう合図した。
木村さんが今一番心配しているのは、間もなく起こるハッカー同盟の問題だった。
二人は二階の書斎で立ち止まった。
「会長」木村さんはお辞儀をした。
藤田均は振り返り、眉を少し動かした。「秋山蓮はなんと言った?」
木村さんは事実をありのままに報告した。
秋山蓮の反応は藤田均の予想通りだった。彼は秋山直哉を重視していたが、実際にはそれ以上に秋山直子を重視していた。
前回の陸奥智道の件以来、藤田均は秋山直子に連絡を取っていなかった。どんな態度で彼女に接すればいいのか分からなかったからだ。
しかし、妹にこのような子孫がいることを、彼は誇らしく思わずにはいられなかった。