523 変天、秋山直哉の決断(一更)

徳田さんはすぐには話さなかった。

神崎豊が神崎お爺さんの葬儀でこの件を言い出したということは、彼の手元には確かな証拠があるに違いない。

神崎お爺さんの死去も、神崎深一が神崎家の人ではないという事実も、神崎深一にとって影響が大きすぎる。

神崎家は絶対に部外者に次期当主の座を継がせるようなことはしない。

かつては高い地位にあった貴公子が一気に底辺まで転落した。

東京で以前は表面上彼に敬意を払っていた人々も、今では多くが彼の不幸を喜び、踏みつけようとしている。

二つの出来事が重なり、落差が大きすぎて、徳田さんも神崎深一の状態を心配していた……

普通の人なら誰でも影響を受けるだろう。

秋山家で唯一采配を振るえる秋山蓮は今アメリカで撮影中だったため、徳田さんは急いでやって来たのだ。