意外と悪趣味だな

卓田正修はその言葉を聞くと、つい眉をひそめた。「この不孝息子が、なんてことを言うんだ?私はお前の父親だぞ、お前の様子を見に来て何が悪い?」

朝早く林執事から電話を受け、彼の目の状態が良くなり始めたと聞いて、遠くからやって来たのに、嫌われるとは。

「来なければもっと良くなるぞ。来るたびに頭が痛くなる」

卓田越彦は全く遠慮しなかった。彼と卓田正修の関係は、母親の畑野心美が亡くなってから、ますます悪化してきた。

卓田正修は冷たく鼻を鳴らし、あることを思い出した。「鈴木家の娘はどうした?林執事の話では、お前は彼女に満足しているようだな」

「あんたが彼女をよこした以上、もう口出しする権利はないだろう。いいから帰ってくれ。休みたいんだ」

「わかった、もう帰る。ただししっかり養生しろ。今後の卓田財団は、お前が仕切らなければならないからな」

卓田越彦の交通事故で、卓田正修は卓田財団に戻らざるを得なくなった。

ここ数年、卓田家は息子の手で順調に発展し、卓田正修もようやく数年間ゆっくりできていた。

なのに今は毎日も会議ばっかりで、死ぬほど忙しくなった。

卓田正修が来てから約10分経ったが、鈴木音夢はトイレに行ったまま、30分経っても戻ってこなかった。

日光浴をさせると言っておきながら、彼をここに放置して、彼女は人間の干し肉にでもしたいのか?

これで卓田越彦は不機嫌になった。「林さん、あの女の様子を確認してくれ。まさかトイレに落ちたんじゃないよな?」

林執事は口元を引きつらせ、鈴木音夢を探しに行こうとしたが、振り返ると、ちょうど鈴木音夢が出てきたところに出くわした。

「バカめ、トイレにでも落ちたのか?なぜそんなに長くかかった?」

鈴木音夢は上の階で見張っていて、卓田正修が去るのを見かけたが、彼が戻ってくるかもしれないと心配したから、ずっと出てこられなかった。その事実はさすがに答えられなかった。

「すみません、私…胃の調子が少し悪いみたいで」鈴木音夢は嘘をついた。そのせいで耳まで少し赤くなっていた。