第021章 彼を喜ばせるのは、簡単ではない5

彼がよくもまだそのことを持ち出す気になるなんて、彼女の顔は一瞬にして血が滴るように真っ赤になった。

昨日、彼が彼女にあんなことを強制したことを思い出すと、鈴木音夢は卓田越彦をトイレに流してしまいたいほど憎らしく思った。

彼ほど性格の悪い人を見たことがなかった。まさに全身、隅々まで腐っていた。

しばらくして、この悪魔が用を足し終えると、鈴木音夢は急いで手伝いに行った。

「ここで少し待っていて」鈴木音夢は彼を支えてドアまで連れて行き、急いで戻ってきた。もう息が詰まりそうだった。

彼女はトイレから出て、卓田越彦の手を自分の肩に乗せたが、まるで大きな牛を引きずっているような感覚だった。

そのため、卓田越彦がベッドの端に座る前に、彼女は手を離してしまった。

結果、卓田越彦はそのまま倒れてしまい、驚いた鈴木音夢は反射的に手を伸ばして彼を掴もうとした。