第046章 家族の秘史2

この件は、鈴木音夢をしばらく悲しませ、鈴木世介にも言えないでいた。

彼女は、自分の父親がこのような人だとは、まったく想像していなかった。

母親が亡くなった時、彼女はまだ幼かったが、母親の印象はとても鮮明に残っていた。

記憶の中の母は、笑うととても美しかった。おそらく天が妬む美貌だったのだろう。

夏目さんはそう言いながら、鈴木音夢が呆然としているのを見て、小声で注意した。「鈴木さん、このことは若旦那には言わないでくださいね。私が話したことだと知られたら、若旦那は使用人が陰で余計なことを話すのを一番嫌いますから」

「夏目さん、安心してください。私はもうマンゴーを何個か摘んできますね」

「いいですよ。でも若旦那はあなたがマンゴーを食べないように私に見張らせているんですよ。普段は冷たい若旦那が、こんなに気遣う一面があるなんて、本当に驚きです」