書斎も、思うがままに振る舞える良い場所だった。
卓田越彦の目はすでに大まかな色を識別できるようになっていた。彼は突然、鈴木音夢を広い事務机の上に抱き上げた。
鈴木音夢は驚いて、反射的に彼の首に腕を回した。
卓田越彦は手を伸ばして彼女の顔を軽く撫で、彼女の額に軽くキスをした。「いい子だ、言うことを聞くんだよ」
卓田越彦がまた何かをしようとしていることに気づいた音夢は、急いで後ろに下がった。「やめて…」
「うん、いい子だ……」
彼はその革張りの大きな椅子に座り、音夢は机の上に座っていた。
卓田越彦の足の回復は順調で、一気に音夢を抱き上げることができた。
二人の間の息の合い方はますます良くなり、音夢の指示のもと、越彦はスムーズに彼女を抱えて浴室に入った。
服の件については、音夢はすぐに卓田越彦に洗脳されてしまい、彼の前で服が高価だということを口にする勇気もなくなった。
音夢は卓田越彦のそばにいることにますます慣れ、毎日彼にからかわれ、時々勇気を出して反抗することもあった。
しかし、反抗の炎は、すぐに卓田越彦によって消されてしまうのだった。
鈴木音夢の誕生日がすぐに来た。鈴木世介が祝いたいと言い、音夢は卓田越彦の機嫌が良いときを見計らって、半日の休暇をお願いした。
最近彼女が家に帰っていないことや、彼女の振る舞いも悪くなかったことを考慮して、卓田越彦は気前よく休暇を許可した。
今回、音夢は何も持たずに、通りの角で車を降りた。
彼女は車を降りるとすぐに、あの母娘に会うのを恐れ、運転手が去ってからすぐにタクシーに乗った。
これは彼女の19歳の誕生日だったが、実際には祝う予定はなかった。結局のところ、彼女はお金を無駄にしたくなかった。
しかし世介はボーナスをもらったと言い、必ず彼女のために祝いたいと言った。また、すぐに新学期が始まるので、彼女の大学合格も祝うことになった。
大学のことについて、音夢は明かす勇気がなかった。
叔父は彼女のために家庭教師を雇うことを約束していた。彼の目が良くなったら、彼女を学校に戻らせることも約束していて、学籍も確保してあるという。
すべてが素晴らしく計画されているようで、音夢はときどきそれが本当なのか信じられなかった。
なぜなら、これまで彼女のためにすべてを手配してくれる男性はいなかったからだ。