第077章 実は卓田越彦はインポではない4

卓田越彦の名前が出ると、鈴木国彦の顔色が一気に曇った。「音夢、軽はずみな行動はするな。世介も私の息子だ、私が彼にどうするというんだ?」

卓田越彦は事故のため、今は卓田財団を卓田正修が戻って直接指揮している。

娘を嫁がせて厄除けにしたことで、卓田越彦の状態が少し良くなったという。

だから、卓田正修は鈴木家のビジネスに便宜を図っているのだ。

「あなた、あの生意気な子をこのまま許すの?成田晃がどんな目に遭ったか見てみなさいよ?」

以前なら、今日彼女が兄妹二人をどんなに痛めつけても、鈴木国彦は気にもしなかっただろう。

鈴木音夢は自分が今、鈴木国彦にとってまだ利用価値があるからこそ、このような口の利き方ができると知っていた。

そうでなければ、今日の世介は彼らの怒りを鎮めるために、ひどい目に遭っていたかもしれない。

「言っただろう、この件はこれで終わりだ。今後は成田晃に、もっと丁寧に話すよう言っておけ。音夢、安心しろ、世介は絶対に大丈夫だ。卓田越彦の体調が良くなったと聞いたが、それは本当か?」

「まあね」

そのとき、鈴木音夢の携帯が鳴った。卓田越彦からの電話だと見て、「卓田越彦からよ」と言った。

「早く出ろ、卓田越彦を怒らせるな」

卓田越彦は彼女が出て行った後、やはり心配で、ついに我慢できずに彼女に電話をかけた。

「弟の怪我は大したことないか?誰かに困らされてないか?いつ帰ってくる?」

卓田越彦のこのような質問を聞いて、鈴木音夢の心に温かさが広がった。

卓田越彦だけが、弟の怪我の具合や、彼らがいじめられていないかを心配してくれる。

「心配しないで、大したことないわ。すぐに戻るから」

「そうか、運転手を迎えに行かせる。帰ってきて一緒に夕食を食べよう」

彼女がいないと、夕食の味が違って感じるのだった。

「わかったわ」

鈴木音夢は電話を切った。「あとで卓田家の人が迎えに来るわ。お父さん、誰かが世介を虐待しているのを知ったら、私はもうそんなに従順ではいられないわよ」

「安心しろ、父さんがそんなことは絶対に起こらないと約束する」

30分後、卓田家の運転手が到着した。

鈴木玉子は鈴木音夢が黒い高級車に乗り込むのを見て、眉をひそめた。

彼女は立林絹子の方を向いて、「お母さん、卓田越彦の怪我は良くなったの?」と尋ねた。