第087章 こんなに横暴なのだ

鈴木音夢は骨の髄まで、やはり伝統的な人だった。

最初は厄払いのために来たとはいえ、初夜を卓田越彦に捧げた彼女は、心の中で自分は彼のものだと決めていた。

少なくとも浮気という考えは、彼女は一度も思ったことがなかった。

彼がそう言うなら、彼の目が良くなった時、鈴木玉子のふりをして来たことを責めないだろうか？

「チビ、覚えておけ、お前の体も心も、俺だけのものだ。お前の体や心が浮気したと知ったら、足を折るぞ、わかったか？」

卓田越彦はそういう横暴な人だった。そして、彼は最初から最後まで、実は彼女一人の女性しかいなかった。

しかし、このことについては、彼はこのチビに言うつもりはなかった。

結局のところ、28歳の童貞に、自慢できることは何もなかった。

鈴木音夢はうなずいた。知らず知らずのうちに、彼女の心は既に彼のものになっていた。