鈴木音夢は角に立ち、どうやってホテルに忍び込むか考えていた。
思わず自分の姿を見下ろした。この二日間、逃げ回っていたため、お風呂にも入れていなかった。
それに、服はボロボロで、この姿でホテルに入れば、すぐに追い出されるだろう。
日が暮れ始め、通りには食事の香りが漂ってきた。
鈴木音夢は思わず唾を飲み込み、お腹を撫でた。
彼女には正面玄関からホテルに忍び込む勇気がなかった。
その香りに導かれ、鈴木音夢は知らぬ間に裏口に辿り着いていた。
なぜだか分からないが、普段は我慢強い彼女が、今はその香りを嗅ぐと、特に食べたくなった。
酸っぱくて辛い味が、彼女の口に合っていた。
そのとき、配達用の小型トラックがホテルの裏口に停まった。
鈴木音夢はひらめき、駆け寄って荷物運びを手伝い始めた。