第153章 君が噛んだ歯形5

卓田越彦はもう一杯自分に注ぎ、眉をさらに深く寄せた。

さっきのほんの一瞬、卓田越彦は本当に他の女性に触れることができるかどうか試してみようと思った。

結果、近づく前に、吐き気を感じた。

彼は、きっとチビに毒を盛られたのだと思った。

この毒は、おそらく治療法がない。

広田叡司は彼が何杯も飲むのを見て、思わず言った。「越彦、お前の酒量が良いのは知ってるが、このまま飲み続けたら、胃に穴を開けるつもりか？」

「お前を呼んだのは酒を飲むためであって、無駄話をするためじゃない。乾杯！」

そう言って、卓田越彦は彼のグラスに軽く触れ、自分から一気に飲み干した。

広田叡司は彼のこの様子を見て、こんな女たらしが、本当に適応できないのだと思った。

彼は隣の女性をちらりと見て、「どけ」と言った。

その女性は細い腰をくねらせながら、場所を譲り、おとなしく別の場所に座り、広田叡司に酒を注いだ。

広田叡司は彼に近づき、眉を軽く上げて言った。「越彦、まさか本当に彼女じゃなきゃダメなのか？」

卓田越彦は何も言わなかったが、表情がすべてを物語っていた。

広田叡司は彼のそんな傲慢な様子を見て、同意できなかった。「お前、そこまでする必要あるのか？女なんて世の中にいくらでもいるぞ。」

「お前には分からない！」

「本当にお前が分からないよ。まだ実際に会ったこともないんだろ？どうして彼女がいいって分かるんだ？俺は気になるよ、あの娘は一体どんな妖精なんだ、お前の魂まで奪っちまうなんて。」

そう言いながら、広田叡司はその花嫁代理の娘に興味を持ち始めた。

卓田越彦は本当に広田叡司のこの質問について真剣に考えてみた。チビのどこがいいのか？

具体的に言えば、特に長所はないようだった。写真を見る限り、絶世の美女とは言えない。

それに、頭も良くない。あの知能は、彼は本当に言葉で表現できなかった。

しかし、彼女の声を聞くと、心が明るくなる気がした。

彼女がバカでも、彼は気にしない。むしろ彼女を教育することに興味があった。

アルコールの影響で、チビへの思いはさらに深まり、卓田越彦はかなりの量の酒を飲み、すぐに本当に酔ってしまった。

一時間後、諌山雪乃がクラブにやって来た。