延田偉一は彼がこんなに焦っているのを見て、当時のコンテストで一等賞を取った時でさえ、こんなに興奮していなかったと思った。
「たぶん私の家にあるはずだよ、掃除の時に捨てなかったなら。」
「早く、急いで見つけてくれ、その手紙は僕にとってとても重要なんだ。」
鈴木世介は彼を引っ張って、外に走り出し、タクシーを止めた。「運転手さん、急いでください、速く行ってください。」
鈴木世介は焦りのあまり、車のタイヤを外して自分の体につけて、もっと早く走れるようにしたいくらいだった。
延田偉一の家に着くと、延田お母さんが掃除をしていた。「お母さん、僕の部屋には手をつけてないよね?」
「ちょうどこれから上がって片付けようと思っていたところよ。こんな大きな人間なのに、犬小屋みたいにしちゃって。」
延田お母さんのこの言葉を聞いて、二人は思わずほっとして、急いで階段を上がった。
「俺が引き出しを探すから、君はあっちの高校時代の古い本の山を探してくれ。」
そして、二人の大柄な男の子は、家宅捜索のように、3分もしないうちに、部屋全体がゴミ捨て場のようになった。
長い間の物なので、延田偉一もどこに置いたのかはっきりとは覚えていなかった。
5分後、延田お母さんが雑巾を持って入ってきて、驚いた。「あなたたち...何をしているの?」
突然、延田偉一は悲鳴を上げた。引き出しの底から見つけたのだ。封筒はすでに黄ばんでいて、上にはゴキブリの糞が数個ついていた。
「世介、見つけたよ、これだ。」
鈴木世介は振り返り、延田偉一から手紙を奪い取ると、すぐに封筒を開けた。
彼はその内容を見て、非常に興奮した。「なんだ、姉さんはアメリカにいるんだ、彼女は死んでいない、死んでいないんだ...」
鈴木世介は狂ったように走り出し、鈴木音夢に電話をかけようとした。
数歩歩いた後、戻ってきて、延田お母さんにお辞儀をした。「おばさん、すみません、今度ご飯をおごりに来ます。」
「この子、どうしたのかしら?」
延田お母さんは彼を見ていると、また風のように階下へ走っていった。
先ほど車の中で、延田偉一はすでに事情を知っていた。「お母さん、世介のお姉さんが5年間行方不明だったんだ。今、お姉さんの手紙を見つけたから、興奮しているんだよ。」