鈴木音夢はこの見慣れた山道を見つめながら、初めて峠山別荘に来た時のことを思い出した。
その時の気持ちは、まるで黄泉に行くようだった。
彼女は横を向いて、運転している男性を見た。完璧な輪郭、塵一つない気品、まるで仙人のような貴公子。
彼女は信じられなかった、こんな男性と一緒にいるなんて。
また、こんな男性が自分を好きになるなんて信じられなかった。
彼女は唇を噛んだ。叔父さんは彼女に好きだという言葉を一度も言ったことがないようだった。
でも、彼と一緒にいられるなら、たとえ彼の子分になるだけでも、心から嬉しかった。
「小悪魔、俺はかっこいいだろう?見とれているな。」
卓田越彦は口角を少し上げた。このチビの視線が彼の心身を喜ばせた。
続けて、卓田越彦はさらに一言付け加えた。「家に着いたら、存分に見せてやる。どこを見たいか、一糸まとわぬ姿で。」