第213章 怖がらないで、叔父さんがいるから19

卓田越彦は何度も電話をかけ、ほぼ同時に裏社会と表社会の両方から彼女を探していた。

5年前、彼女は鈴木家の人間に無理やり連れ去られた。このような事態を、彼は二度と許すつもりはなかった。

彼にとって今最も重要なのは、あの写真がどこから来たのかということではない。

まずは彼女を見つけることだ。普段から臆病な彼女は、こんなことが起きれば必ず怯えているはずだ。

くそっ、誰であろうと、彼の大切な人に手を出す者は絶対に許さない。

このようなニュースは、非常に速いスピードで広まっていく。

薬生え山にいた卓田正修もすぐにニュースを目にした。

彼は林柳美に杏子を連れ出させ、それから卓田越彦に電話をかけた。

卓田越彦は運転中で、卓田正修からの着信を見て少しイライラしたが、それでも電話に出た。「もしもし…」

「息子よ、ニュースのことは見たよ。この件はしっかり対処してくれ。この数日間、私は杏子と一緒にいる。彼女たち母娘は外国でたくさんの苦労をしてきた。たとえ音夢があの写真を撮ったとしても、彼女はきっと追い詰められた状況だったんだと信じている。彼女を裏切ってはいけない。」

卓田正修は息子があの写真を見て理性を失うことを恐れ、自ら電話をかけて注意を促さざるを得なかった。

結局のところ、このような事態が起きた場合、卓田家の面目はさておき、最も傷つくのは音夢だ。

「父さん、わかってる。音夢は今朝出かけたきり、電話も通じない。まずは彼女を見つけてから話そう。杏子をよろしく頼む、この件は彼女に知らせないでくれ。」

「ああ、この数日間は彼女から目を離さないようにする。早く彼女を見つけて、何も起こらないようにしてくれ。」

そのとき、杏子は二つの薬草の団子を持っていた。それは口谷さんが彼女のために作らせたものだった。

「おじいちゃん、家に帰ったら、これをママに持って行ってもいい?谷口お爺さんが、食べるとすごく強くなるって言ってたよ。」

卓田正修は彼女をひょいと抱き上げ、うなずいた。「もちろんいいよ、杏子はいい子だね。」

「うん、じゃあもう2つ食べるね。私が大きくなったら、ママのためにお金を稼ぐの。ママがまた人に殴られるのは嫌だから。」

卓田正修はそれを聞いて、胸が痛んだ。「ママはどうして殴られたの?」