第216章 怖がらないで、叔父さんがいるから22

卓田越彦は彼女を腕に抱き寄せ、彼の白いシャツは彼女の涙で一角が濡れていた。

しばらく慰めると、ようやく泣き止んだ。

彼は彼女の手を握り、「行こう、家に帰ろう」と言った。

鈴木音夢は痛みで息を吸い、手を引き抜いた。

卓田越彦は眉をひそめ、彼女の手を握り、指が赤く腫れているのを見た。

彼の表情は、先ほどよりもさらに怒りに満ちていた。「どうしたんだ?」

鈴木音夢は鼻をすすり、「今日、記者に小さな路地まで追いかけられて、彼らが押し合いへし合いして、私は地面に押し倒されて、携帯も見失ってしまったの。人が多すぎて、踏まれたの」と言った。

その光景を想像すると、卓田越彦はまた人を殺したい衝動に駆られた。

「他にどこか怪我してる?嘘はダメだ、本当のことを言いなさい」

あの記者たちは絶対に許さない、一人も見逃さない、彼のチビをこんな風に踏みつけるなんて。

普段、どんなに怒っていても、彼女に手を上げることなど考えられなかった。

「足が少し痛いだけ、でも大丈夫」

卓田越彦は彼女の指を握り、そっと息を吹きかけた。「いい子だ、少し我慢して、家に帰ったら風太に診てもらおう」

この瞬間、鈴木音夢は彼が優しく指に息を吹きかける姿を見て、心が水のように溶けた。

夕焼けが彼の顔に映り、特に柔らかな表情に見えた。彼女は卓田越彦のこの姿を決して忘れないだろう。

卓田越彦は彼女のもう一方の手を引き、林暁美の墓前に行き、丁寧に礼をした。「おばさん、私は卓田越彦です。安心してください、音夢のことはしっかり守ります」

一日中の緊張と不安は、この男性が来てから、少しずつ和らいでいった。

言い終わると、卓田越彦はしゃがみ込んで、「乗って!」と言った。

鈴木音夢は首を振った。「おじさま、私は大丈夫です、自分で歩けます」

「無駄口を叩くな、乗りなさい」

彼女がこんな状態で、彼がいるのに、山を一人で下らせるわけにはいかなかった。

鈴木音夢は素直に彼の背中に乗り、彼に背負われて一歩一歩山を下りた。

幼い頃から大人になるまで、こんな風に背負ってもらったことはなかった。

しかし、今日のような出来事が起きて、きっと彼の面目を潰してしまった。鈴木音夢はどうすればいいのか分からなかった。

「おじさま、あの写真のことはどうしましょう?」