第367章 杏子、掌中の花4

卓田越彦は鈴木音夢が眠りについた後も心配で、院長室へ向かった。

卓田風太は電話中だったが、彼が入ってくるのを見て驚き、急いで電話を切った。

「兄さん、義姉さんに何かあったの?」

「いや、彼女は今寝たところだ。風太、彼女の頭に問題はないだろうか?」

「あなたたちのことを覚えているなら、大きな影響はないでしょう。彼女の状態が良くなったら、詳しい検査をします。安心してください。」

「竜川の状態はどうだ?」

「竜川さんは義姉さんより重傷です。いつ目覚めるかはまだ分かりません。」

今回救出された人々のほとんどが重傷で、死亡者も少なくなく、非常に深刻な損失だった。

「うん、今回の撮影クルーの負傷者全員の費用は、我々の病院が負担する。」

これは天災による事故だったが、このような事態が発生した時、卓田越彦は家族の気持ちをよく理解できた。