第369章 杏子、掌中の花6

茉莉は頷いて、彼女の計画を邪魔しなければいいと思った。さもなければ、彼女は容赦しないだろう。

30分後、卓田風太が自ら彼女の検査をし、4時頃になって、茉莉はようやく退院した。

卓田正修は家の豪華な長いロールスロイスを運転してきて、卓田礼奈と鈴木世介が後ろで荷物を持っていた。

林柳美は来ていなかった。彼女は家で夕食の準備をしていて、鈴木音夢の退院を祝うためだった。

卓田越彦は彼女を支え、まるで太后の行列のようだった。

みんな気分が良く、ここ数日の暗い雰囲気が一掃された。

鈴木世介は卓田礼奈の手から荷物を受け取り、彼女に持たせず、後ろについて歩いた。

豪華なロールスロイスがゆっくりと卓田家の邸宅に入ると、茉莉は静かに卓田家のすべての警備を観察した。

今では下水道にまで電気網が張られ、正面からは卓田家に入る方法がなかった。

ましてや卓田家の本館は、さらに厳重に警備されており、正面から潜入することは不可能だった。

虹色の玉石、その価値は玉自体にあるのではなく、宝物の入り口を開く鍵となるものだった。

ヘブンストライカーはこれほど長く調査し、ついに最も重要な玉石が卓田家に代々伝わっていることを突き止めた。

卓田家の継承者だけが、玉石を所有できる。

だから、卓田越彦が鍵だった。

林柳美は車が入ってくるのを見て、心の中で喜んだ。

今はようやく雨が上がり晴れたようだ。ここ数日、家の中は暗雲が立ち込めているようで、息をするのも苦しかった。

「柳田おばさん……」

茉莉は淡々と声をかけた。声はまだかすれていた。

みんな彼女の声帯が損傷していると思っており、誰も疑っていなかった。

卓田越彦でさえ、彼女にできるだけ話さないように言い、喉を早く治すようにと言った。

「帰ってきてよかった。疲れたでしょう、まず上がって休んで、後で食事の時に呼ぶわ。」

鈴木音夢の周りのほとんどの知人について、茉莉は心得ていた。

今彼女は退院したばかりで、みんな彼女が疲れることを心配していた。彼女もできるだけ話さないようにして、隙を見せないようにした。

階段を上がるとき、彼女は地形を観察した。彼女と卓田越彦の部屋は2階にあった。

そして玉石はおそらく4階に隠されているだろう。彼女はできるだけ早く機会を見つけて、4階を探る必要があった。