第380章 杏子、掌上の花17

言い終わると、茉莉は手に少し力を入れ、杏子の首に細い血筋が走った。

卓田越彦は大いに驚き、「彼女を放せ!」と叫んだ。

杏子は首に痛みを感じ、わんわんと泣き始めた。「あなたはお母さんじゃない、お母さんじゃない、悪い人だ、お母さんを返して、うぅ……」

チビちゃんは悲しそうに泣いていた。茉莉はそれを聞いて、眉をわずかに寄せた。「黙りなさい、もう泣くとあなたの首を切り落とすわ」

卓田越彦も杏子が激しく暴れて、ナイフに触れてしまうことを恐れていた。

彼の心は宙に浮いたようだった。「杏子、怖がらないで、パパが助けるから、動かないで」

茉莉は冷ややかに笑った。鈴木音夢の他に、このチビちゃんは卓田越彦のもう一つの弱点だった。

今や彼女の正体がばれた以上、このチビちゃんは彼女の命の保険だった。