第382章 杏子、掌上の花19

茉莉は車がまもなく爆発すると感じ、緊急事態の中、チビちゃんの泣き声が震えているのを聞いて、彼女の安全ベルトを外した。

電光石火の間に、彼女を引っ張り寄せ、素早く飛び降りた。

卓田越彦がトンネルの出口に出たとき、トラックが衝突しようとしているのが見えた。

性能の良いハマーでさえ、あれほどの速度では瞬時に停止することはできなかった。

続いて、約1分後、車は轟音とともに爆発し、巨大な火の玉が立ち上った。

卓田越彦はその車が火の海に飲み込まれるのを見て、頭が真っ白になった。

彼は急いで車を走らせ、車から降りて、「杏子……」

卓田越彦は火の海に突入しようとしたが、平村さんと他の二人のボディガードにしっかりと引き止められた。

「若様、近づけません、危険すぎます。」

言い終わるや否や、車は再び爆発し、火の粉が四方に飛び散った。