卓田家の一家は、ほとんど全員が病院にいて、杏子の状態が彼らをひどく心配させていた。
卓田越彦は電話の音を聞き、携帯を取り出すと、画面には古田静雄からの着信が表示されていた。
彼は携帯を持ってベランダに出た。きっと昨日の人から連絡があったのだろう。
「もしもし……」
「越彦、音夢が河津市立病院にいる。すぐに行ってくれ、彼女の状態がよくない」
卓田越彦は音夢という言葉を聞いて、全身が震えた。
卓田家はつい最近、偽物の音夢の一件を経験し、杏子はほとんど命を落とすところだった。
卓田越彦は興奮を抑えながら「古田静雄、もう少し詳しく教えてくれないか?本当に私の音夢だと確信しているのか?」
「さっき従弟から電話があって、永崎城で人を探すのを手伝ってほしいと言われた。写真を見たら、その人は明らかに音夢だ、間違いない。彼女の怪我はかなり重く、ちょうど救急処置が終わったところだ。従弟が言うには、彼女はもたないかもしれないから、すぐに来てほしいとのことだ」