第390章 ママの存在を感知する7

このことは、卓田越彦の心の痛みでもあった。彼は鈴木音夢の最も親しい人間でありながら、問題を最初に発見できなかったのだ。彼があまりに焦っていたせいだった。

「今度は本当だよ、お母さんは病院にいるの。杏子、おじいちゃんの言うことを聞くんだよ」

「パパ、ママに会いたい、早く連れて行って」

卓田越彦は少し躊躇してから、優しい声で尋ねた。「杏子、パパに教えて、体の具合は悪くない?頭はめまいしない?」

「めまいなんてしないよ、ママに会いたいの、ママに会えばいいの」

「わかった、おじいちゃんに電話を渡して、あとでおじいちゃんが連れて来てくれるから」

卓田越彦は考え込んだ。どうせここも病院だ。

チビが娘のことを思っているなら、娘に会えば状態が良くなるかもしれない。

杏子はもともと特別だ。もし林暁美が本当に霊族の人間なら、彼女と杏子は両方とも霊族の子孫ということになる。