卓田越彦は彼女の言葉を完全に無視して、「チビ、二つから選べ。俺がお前の体を拭いてやるか、それとも俺がお前を洗ってやるか?」
それに、彼専用の特権を、どうして手放すだろうか?
食べられなくても、触れるだけでも、欲求を少しは満たせる。
この数日間、彼は自分が何回冷水シャワーを浴びたか覚えていないほどだった。
結局、卓田様の威圧に屈して、鈴木音夢はお風呂に入ることを選んだ。
同じ条件なら、お風呂の方が気持ちいいからだ。
それにこれだけの日数、一度もお風呂に入っておらず、ずっと卓田越彦に体を拭いてもらっていた。
彼女は思った、以前杏子を産んだ時の産後の養生期間でさえ、こんなに辛くなかった。
卓田越彦は彼女を引っ張ってバスルームに入り、彼の表情からは何も読み取れなかった。彼女のボタンを外す時も、相変わらず冷静だった。
鈴木音夢は彼の手を押さえて、「私...私自分でできるわ」と言った。
「いいよ、自分でやれば」
そう言うと、卓田越彦は一歩後ろに下がり、自分の服のボタンを外し始めた。
鈴木音夢は彼がボタンを外すのを見て、思わず顔をそらした。
卓田越彦は彼女の表情を見て、思わず口角を上げた。「チビ、まだ恥ずかしがってるのか?何度も見たし、何度も触ったじゃないか?」
鈴木音夢は心の中で思った、こんな厚かましいことを当然のように言える人間は、卓田越彦しかいない。
卓田越彦は手際よく自分のズボンを脱ぎ、「チビ、早く服を脱げ。洗ったらすぐ出るんだ、風邪をひくなよ」
もし風邪をひいたら面倒だ。咳をすれば、やっと少し良くなった肺にまた影響が出るだろう。
鈴木音夢は彼の前で服を脱ぐ勇気がなく、背を向けてゆっくりとボタンを外し始めた。
卓田越彦は彼女のぎこちない様子を見て、一気に彼女のズボンを引っ張った。「やっぱり俺がやるよ、お前はのろまだな」
彼の動きは素早く的確で、まるで彼自身のように、物事をだらだらとするのが嫌いだった。
卓田越彦はシャワーヘッドを持って、少しずつ彼女を洗い流した。
鈴木音夢は頭を下げて、「おじさま、髪も洗いたいな」
卓田越彦は仕方なく彼女をバスタブの縁に座らせ、ゆっくりと彼女の頭皮をマッサージした。「簡単に洗うだけだ、長くはできないぞ」
鈴木音夢はこれまでの人生で、誰かに髪を洗ってもらったことがなかった。