卓田越彦はVIPルームで待ちながら、手に取った雑誌をパラパラとめくっていた。
十数分後、搭乗が始まった。
数日間続けて忙しかった卓田越彦は疲れていて、ファーストクラスに入るとすぐに美しい客室乗務員が近づいてきた。
ファーストクラスに座る男性は、一目見ただけで裕福さが伺えた。
さらに、卓田越彦の芸能人よりもハンサムな顔は、より一層人を引き付けた。
「お客様、こんにちは。何かご用はありますか?」
卓田越彦はまぶたを少し持ち上げ、客室乗務員の前のボタンが二つ少なく留められているのを見た。
このような女性は初めて出会うわけではなかった。しかも、彼女の身に漂う香水の匂いで、彼の眉はさらに深くしかめられた。
「必要ありません。私から離れてください。妻は女性が私に近づくのを好みません」