第531章 林暁美の墓4

立林絹子はもう何も言えなかった。ただ心の中で林暁美を恨まずにはいられなかった。

彼女の子供たち、鈴木音夢にしても鈴木世介にしても、自分の子供より優秀だった。

彼女の目には、まさに目の上のたんこぶのような存在だった。

鈴木国彦は杖をつきながら、林暁美に対して申し訳なさを感じていた。

当時、彼は彼女が身に着けている物が高価で、さらに美しかったので、騙して自分と結婚させたのだった。

彼が彼女に触れようとするたび、彼女は死にたいと言って抵抗した。

実際、鈴木世介ができた夜も、彼が彼女に薬を飲ませて、やっと成功したのだった。

その後、林暁美は自殺しようとした。もし音夢がまだ小さくて世話が必要でなければ、彼女の性格からして、きっと生きようとはしなかっただろう。

彼もまた、たった一度で彼女が妊娠するとは思っていなかった。

その子供に対して、林暁美の気持ちは非常に複雑だった。

彼女は自分があの男を裏切ったと感じながらも、お腹の中ですでに存在している我が子を手放す気にはなれなかった。

母親の心とは、そのように複雑なものだ。

子供が生まれると、彼女は永遠にこの世を去った。

林暁美の墓前に近づくと、鈴木国彦は一人の男が林暁美の墓石を抱きしめているのを見た。

彼は立林絹子を引き止めた。立林絹子は不思議に思い、鈴木国彦の視線の先を見た。

彼女は初めて林暁美の墓前に来たが、林暁美のあの顔は絶対に忘れられないものだった。

鈴木国彦はその男が黒いスーツを着て、横顔から見ると非常に悲痛な様子であることに気づいた。

「あの男は誰だ？なぜ暁美の墓石を抱いているんだ？」

立林絹子は眉をひそめ、少し考えてから言った。「もしかして林暁美の不倫相手じゃないの？今になって林暁美が死んだことを知ったのかしら？」

鈴木国彦は少し躊躇した。彼の体格から判断すると、今は憔悴した様子ではあるが、身から発する雰囲気は、一目見て普通の人ではないことがわかった。

「あれは三千万でその玉の飾りを買い戻した人かもしれない。彼は林暁美が彼のために鈴木音夢を産んだことを知っているのだろうか？」

立林絹子と鈴木国彦はいつも抜け目のない人たちで、二人は互いに目を合わせ、まずは脇に隠れて様子を見ることにした。

三千万で玉の飾りを買える人なら、家はきっと金持ちだろう。