第569章 豊田家のお嬢様34

豊田家は、ここ数年、豊田景明のおかげで、以前よりも更に強大になっていた。

現在、豊田家は彼の養子である豊田祐助が取り仕切っているが、豊田祐助も並の人物ではない。

今となっては、鈴木玉子をどうやって救い出すかについて、彼も途方に暮れていた。

鈴木成典は田中久樹がどこに行こうとしているのか分からず、少しイライラして言った。「田中さん、姉さんは一体どこにいるんですか？直接言ってくれればいいじゃないですか？」

田中久樹は脇の花壇に行き、「君のお姉さんは豊田家の人に連れ去られた。おそらく君の両親も豊田家の人に一緒に連れて行かれたんだろう」と言った。

「豊田家？」

鈴木成典は不思議に思った。豊田家って何だ？

彼がギャンブル場に借りていた金は、義兄がすでに解決したんじゃなかったのか？

もしかして、彼らはまた別の人に借金をしたのか？なぜ彼は全く知らないのか？

「河津市の豊田家だよ。聞いたことがあるかい？君の両親は玉子さんに豊田景明の娘を装わせようとして、豊田家の人に見つかった。だから、彼らは今、非常に危険な状況にあるだろう。生きているかどうかも分からない」

田中久樹は考えたくもなかった。彼らはどうして豊田家を敵に回す勇気があったのか？

もし鈴木玉子がこのことをする前に、彼に一言言ってくれていたら、彼は必ず彼らを止めていただろう。

「何の問題もないのに、なぜ彼らは豊田景明の娘を装おうとしたんだ？姉さんは父と母の実の子じゃないのか？これは一体どういうことだ？」

「私が知る限り、鈴木音夢こそが豊田景明と林暁美の実の娘だ。君のお姉さんが偽装しようとしたところで、豊田家の人が簡単に見逃すわけがない。豊田景明は普通の人間じゃない。裏社会でも表社会でも、皆が彼を一目置いている。もし豊田景明自身が彼らを解放しなければ、たとえ彼らが逃げ出したとしても、豊田家の人間に連れ戻されるだろう」

田中久樹も焦っていた。鈴木玉子が豊田家に捕まった。

今、見つかるのが遺体だとしても、豊田家にとっては大したことではないだろう。

鈴木成典は目を見開いた。「次姉さんが豊田景明の娘なの？」

彼は思い出した。小さい頃から、父は確かに次姉に対して冷たかった。

次姉と鈴木世介に対する態度は全く違っていた。

鈴木世介に対しては、まだましだった。

なるほど、次姉は実の子ではなかったのだ。