五分後、ショッピングモールの上から下まで、至る所に福井斗真の部下たちがいた。
そして今、安藤凪を誘拐した二人の男が、車椅子を押してエレベーターに乗った。
エレベーターの中で、安藤凪は他の通行人に助けを求めようとしたが、口は塞がれ、手足も縛られていて、少しも動くことができなかった。
そのとき、安藤凪はエレベーター内の二人の通行人の会話を耳にした。
「モールに黒服のボディガードがたくさん増えたけど、何か有名人でも来てるのかな?」
「どこかの大物の奥さんが行方不明になったらしいよ」
「行方不明?!怖すぎるでしょ、こんなに人がいるショッピングモールで!」
「しーっ!余計なことに関わらない方がいいよ、今日はさっさと帰ろう」
「そうだね」
……
福井斗真だ!きっと福井斗真が彼女を探している!