カメラマンは自分の人生で犯した悪事を全て思い出してみたが、どこで福井社長の怒りを買ったのか分からなかった。
福井斗真は長い間黙っていた。カメラマンが青ざめるまで待ってから、ようやく口を開いた。「財務部に行って、年末ボーナスは没収だ」
「え?」カメラマンは反応できなかった。
「今後は福井奥様に近づくな」
福井斗真はそう言い捨てて、その場を去った。
カメラマンは頭より先に体が反応し、すぐに逃げ出した。階下にいた全員が呆然と福井斗真を見つめていた。
恐ろしい!
福井社長は噂以上に恐ろしかった!
約40分後、安藤凪はメイクを落として出てきた。彼女は逃げようとしているカメラマンに笑顔で挨拶した。「今日はありがとうございました!」
カメラマンは幽霊でも見たかのように、言葉も発せず、手を振るだけですぐに逃げ出した。