安藤国彦は顔を青ざめさせて怒った。壁の草だ!
福井斗真はまだ何も言っていないのに!
次々と寝返りやがって!
歯を食いしばりながら、彼は強引に言った。「どう言っても、ネット上の騒ぎは大変なことになっている。我々はただ見ているだけでいいのか?」
言い終わると、安藤国彦はまだ諦めきれず福井斗真を見た。「それに当時のことについて、福井社長もご存知のはずですよね?」
一斉に全員が福井斗真に視線を向けた。
彼は軽く頷いた。「ああ、知っている」
安藤国彦は口角を上げた。「では、投票を始めてもいいでしょうか?」
彼の言葉の裏の意味は非常に明らかだった。つまり、彼が動画で言ったことはすべて真実であり、福井斗真はただ面白がって来ただけで、安藤凪を助けるためではないということを皆に伝えていた。
出席者たちは顔を見合わせ、福井斗真の意図が理解できなかった。
福井斗真の行動はいつも気分次第で、喜怒哀楽も読めない。ただ面白がって来たと言われれば確かにそうかもしれないが、もしそうでなかったら?
安藤凪はしっかりと座っていた。実際、彼女の心も不安だったが、今慌てることはできないことも知っていた。そうでなければすべてが終わってしまう。
安藤国彦は皆の反応がないのを見て、我慢できずに宣言した。「これより、安藤凪の安藤グループ執行社長解任に関する株主総会の投票を正式に開始します!解任に賛成の方は手を挙げてください!」
言葉が終わるや否や、安藤国彦は高く手を挙げた。
株主たちは福井斗真の表情を窺いながら、次々と手を挙げ始め、すぐにその数は半数近くになった。
安藤凪は冷たく言った。「皆さん、よく考えてください。安藤国彦の経営の下で、安藤グループは破産寸前まで追い込まれ、会社の株式を売らなければならないところまで落ちぶれました。株式を売ることでようやく安藤グループを守ったのです。こんな人が本当に信頼できるのですか?」
数人の株主が躊躇いの表情を浮かべ、今まさに挙げようとしていた手を引っ込めた。
「でたらめを言うな!」
安藤国彦は安藤凪を追い出すところだったのに、その数人が手を下ろしたのを見て、お尻に火がついたように焦った。「それはお前が私を陥れたからだ!」
安藤凪は冷笑して言った。「では安藤社長は自分の力不足を認めるということですか?」
「お前は!」