安藤凪は呆然と福井斗真の背中を見つめていた。あの堂々たる福井社長が彼女のために4時間も車を運転して飴細工を買いに行くなんて?
実際、福井斗真は行っただけでなく、1時間も早く戻ってきたのだった。
「どれが食べたいか分からなかったから、全部買ってきた」
福井斗真は7、8本もの飴細工を取り出し、当然のように言った。「店主の電話番号も聞いておいた。食べたくなったら高橋鐘一に言って、家に来てもらって作らせればいい」
安藤凪は驚いて目を丸くした。
これが金持ちの生活なの?!
「どれが食べたい?」
福井斗真の深い瞳が安藤凪を見つめていた。
安藤凪は気まずそうに笑い、彼の好意を無駄にするのは申し訳ないと思い、適当にイチゴのものを指さした。
冷たくてパリパリのキャンディの殻に包まれた果汁たっぷりのイチゴ。一口かじると酸味と甘さが広がり、想像以上に美味しかった。