第162章 不安

妊娠?この二文字は、福井斗真と安藤凪の二人を呆然とさせた。二人はまず顔を見合わせ、福井斗真の視線は安藤凪のお腹に移った。そして潮のように押し寄せる喜びの感情が、彼をほとんど飲み込みそうになった。彼は少し信じられないという様子で院長を見た。

「凪ちゃん、本当に妊娠したの?」

「はい、ちょうど7週目です。最初の三ヶ月は非常に危険な時期ですので、福井社長はできるだけ福井夫人の感情の起伏を大きくしないように、また彼女に疲れさせないようにしてください。それから、性生活も控えてください。福井夫人は以前に流産されたようで、それが原因で体が少し弱くなっています。これからはしっかり養生してください。」

院長はうなずきながら二人に言った。

福井斗真は院長が流産した子供について触れたのを聞いて、心の喜びが完全に消えた。その流産した子供は、自分と安藤凪の二人の心の中にある乗り越えられない壁だった。