福井斗真の顔は恐ろしいほど暗かった。
彼は何かを思い出したのか、祖父の位牌が置かれている祠堂へと真っ直ぐに歩いていき、安藤凪もすぐ後に続いた。二人が祠堂に入ると、中央の祖父の位牌があるはずの場所は空っぽで、香炉は隅に転がり、香の灰が床一面に散らばっていた。先祖の位牌のほとんどが元の位置になく、中には真っ二つに折られたものもあった。
祠堂の上の幕も引きちぎられ、わずかに二本の布切れだけが残っており、風が吹くとそれらもゆらゆらと揺れていた。安藤凪は驚きのあまり口を手で覆い、二歩後ずさりしてから急いで祠堂の隅々を探し回って祖父の位牌を探した。最後には壁際の棚の下から祖父の位牌を見つけた。奇妙なことに、凪が埃まみれになりながら祖父の位牌を引っ張り出したとき、しなびたリンゴも一緒に転がり出てきた。
安藤凪はそのリンゴを見て、その場で凍りついた。昨夜見た夢を思い出したのだ。夢の中で祖父も彼女にこのようなリンゴをくれたのだ。彼女の目は赤くなり、涙が糸の切れた真珠のように、制御できずに頬を伝って流れ落ちた。
福井斗真はそれを見て、心の中の怒りを抑え、安藤凪の側に歩み寄った。彼は手を伸ばして凪の涙を拭おうとしたが、自分の手が汚れていることに気づき、引っ込めた。
「凪ちゃん、また泣いているの?ここは埃が多すぎるから、目に入らないように気をつけて。」
安藤凪はすすり泣きながら、抱えていた祖父の位牌としなびたリンゴを取り出し、泣き声を含んだ声で言った。
「昨夜、夢で祖父がこんなリンゴをくれたの。うぅ、私は本当に不孝者だわ。こんなに長い間お見舞いに来なかったから、祖父は新鮮な供え物さえなく、位牌もこんなに埃をかぶってしまった。」
福井斗真は安藤凪が抱える位牌を見て、彼女の言葉を聞き、心が痛んだ。彼は軽くため息をつき、凪を腕に抱き寄せ、低い声で慰めた。
「これはあなたのせいじゃない。不孝なのは私だ。私が祖父に会いに来なかったんだ。凪ちゃん、安心して。必ずこの件を調査して、祖父と福井家の先祖たちが安らかに眠れるようにする。」
彼の黒い瞳には抑えきれない怒りが満ちていた。
福井家がこのような屈辱を受けたことはなかった。この連中は死を求めているようなものだ。