福井斗真の顔は恐ろしいほど暗かった。
彼は何かを思い出したのか、祖父の位牌が置かれている祠堂へと真っ直ぐに歩いていき、安藤凪もすぐ後に続いた。二人が祠堂に入ると、中央の祖父の位牌があるはずの場所は空っぽで、香炉は隅に転がり、香の灰が床一面に散らばっていた。先祖の位牌のほとんどが元の位置になく、中には真っ二つに折られたものもあった。
祠堂の上の幕も引きちぎられ、わずかに二本の布切れだけが残っており、風が吹くとそれらもゆらゆらと揺れていた。安藤凪は驚きのあまり口を手で覆い、二歩後ずさりしてから急いで祠堂の隅々を探し回って祖父の位牌を探した。最後には壁際の棚の下から祖父の位牌を見つけた。奇妙なことに、凪が埃まみれになりながら祖父の位牌を引っ張り出したとき、しなびたリンゴも一緒に転がり出てきた。