第168章 張蘭芳の足取り

安藤凪は目を開け、しばらく時間がかかった。

福井斗真がドアを開けて入ってくるまで、彼女はようやく我に返った。

福井斗真は腰にエプロンを巻き、まるで専業主夫のような姿だった。いつも神のように威厳のある福井社長がこんなに庶民的な姿でいるのを見て、安藤凪は思わず笑い声を上げた。会社の部下の前で恥をかいたことについて、もう追及する気はなくなっていた。

「起きたなら、下に降りて少し食事をしよう」福井斗真は愛情を込めて安藤凪の頭を撫でた。

安藤凪が階下で食事を終えると、福井斗真が突然言った。

「これから健診に連れて行くよ」

「どうしてまた健診なの」安藤凪は毎回の健診で多くの検査項目をこなさなければならないことを思い出し、テーブルに伏せて元気なく、全身で「行きたくない」という三文字を表現していた。

福井斗真は笑みを浮かべた。「いい子だ、今日の検査項目は少ないよ。それに、これは私たちの赤ちゃんのためだ。もちろん、本当に行きたくないなら、今日は行かずに明日にしよう」

安藤凪は喜ぶ間もなく、「明日にしよう」という言葉を聞いて再び伏せてしまった。明日行くのと今日行くのとどう違うというのだろう?

「やっぱり今日行きましょう」すべては赤ちゃんのため。

安藤凪は身を起こし、片手でお腹を撫でながら、決意に満ちた表情を浮かべた。

福井斗真は惜しみなく彼女を褒め称え、安藤凪が恥ずかしくなって福井斗真を押し、早く服を着替えに上がるよう促すまで続けた。

安藤凪は両手で熱くなった顔を覆い、人工的に冷やそうとした。

本当に、福井斗真のせいだ。自分はもう子供じゃないのに、何かするたびに大人に褒められる必要があるなんて!

福井斗真が階段を降りてくると、安藤凪の顔色はようやく正常に戻っていた。

彼女は福井斗真が自分をいつもの健診病院に連れて行かないことに気づき、少し困惑した。身分証明書と予約が必要な入退場のある場所を見て、彼女は軽く福井斗真の袖を引っ張った。

「どうして病院を変えたの?」

「この病院のレベルの方が少し良いから」福井斗真は簡潔に説明した。安藤凪も特に何も言わず、ただ従順に彼の後ろについていった。

この病院の患者は明らかに少なかった。