第137章 プロポーズ成功

彼の低く磁性を帯びた声は、まるで世界で最高の子守唄のようだった。ここ数日神経を張り詰めていて、夢の中でもしばしば目を覚ましていた安藤凪は、すでに疲れ果てていた。最後には福井斗真の身に漂う淡い杉の香りに包まれながら、ゆっくりと眠りに落ちていった。

……

彼女が再び目を覚ました時、外はすでに真っ暗だった。静かで暗い部屋に、彼女の心はどきりとした。壁を手探りでベッドサイドのランプをつけると、見慣れた寝室を見て長く息を吐いた。福井斗真がどこかへ行ってしまったようだ。彼女はベッドから降りて顔を洗った後、階下へ向かった。

安藤凪は福井斗真が書斎で仕事をしていると思っていたが、階下に降りると、キッチンから漂ってくる香りが彼女の食欲をそそった。近づいてみると、キッチンで忙しそうに動き回る男性の姿に驚きを隠せなかった。