誰が知るだろう、携帯を開いてみると、なんと福井斗真から自分にメッセージが送られていたことに気づいた。
【会ったか?】
安藤凪は目の前の空気を見つめながら、表情を変えずにキーボードを叩いた。【もちろん会ったわ、私たち二人の時間を邪魔しないで。】
向こうは2秒ほど沈黙した後、安藤凪が福井斗真がようやく静かになったと思った矢先、彼からの新しいメッセージが届いた。【そうか、じゃあ二人の会合は順調なのか、彼に騙されてないか。】
【もちろん順調よ、ロバートは面白くて、話し方も素晴らしいわ。私と会った時は紳士的な態度で、バラの花もコーヒーも買ってくれたの。それも私の大好きなカプチーノ。イケメンで気が利くし、ある人よりずっと素敵よ。】
安藤凪は自分が思いつく限りの良い形容詞をすべてロバートに当てはめた。今は喉が渇いて疲れていても、福井斗真の前で弱みを見せるつもりはなかった。