第228章 信じない

「ここでしか権力を振りかざして人をいじめることはないわ。あなたが今すべてを否定しているのは、私に証拠がないと確信しているからでしょう。安藤羽音、あまり自信過剰にならないで。過去の是非は、いつか大衆の前に暴露されるわ。そのとき、あなたが今言っているすべての嘘は暴かれることになるわ」

安藤凪はまっすぐに安藤羽音を見つめた。

安藤羽音は、安藤凪が過去に家で自分がいじめていた証拠を手に入れる能力はないと思っていた。彼女は安藤玄が近づいてくるのを横目で見て、目を赤くし、哀れっぽく言った。

「お姉さん、私のことが嫌いなのは分かっているけど、そんな風に言わないでください。今はあなたが権力を持っているからといって、白を黒と言い張ることはできないでしょう」

「あなたは…」安藤凪がやっと一言発したとき、安藤玄のいらだちと嫌悪感のこもった声が聞こえた。「いい加減にしろよ、まだ追いかけてきて人をいじめるのか。安藤凪、俺に対してどうであろうと構わないよ、結局俺たちは他人同然なんだから。でも、どんなことがあっても、お前と安藤羽音は一緒に育ったんだ。父親が違うとはいえ、感情があるはずだろう。どうしてそんなことが言えるんだ」