二人はすぐに意気投合し、急いで対策を相談するために立ち去った。福井佳子と安藤羽音が急いで去る時、彼らは角の陰から出てきた人物に気づかなかった。それは追いかけてきた鈴木湊だった。鈴木湊は安藤羽音に余計なことを言わないよう警告するつもりだったが、思いがけず二人の密談を耳にしてしまった。
彼は片手で壁に寄りかかりながら、福井佳子と安藤羽音の二人はどちらも愚か者だと思った。彼らが安藤凪の子供を安藤凪と福井斗真から奪おうとするなど、ほぼ不可能なことだ。しかし、こんな良い盾があるのだから、使わない手はない。
どうせ自分がやることではないし、安藤凪と福井斗真が苦しむ姿を見られるのだから、やらない理由はない。そう考えると鈴木湊はちょっと興奮してきて、思わず口元が上がった……もし間違っていなければ、もうすぐ傅娟の命日だ。福井斗真と安藤凪がその子を傅娟の墓に連れて行くかどうかはわからないが、連れて行かなくても自分には方法がある、その状況を利用して事を進めることができる。