安藤玄は姉が自分をからかっていることを聞き取り、口を開いたものの自分の無実を証明する言葉が見つからなかった。そのとき、ちょうど安藤凪の携帯電話が鳴り、彼はほっと一息ついた。安藤凪は携帯を取り出し、画面を見ると福井斗真からの着信だった。
彼女は不思議に思いながら電話に出た。福井斗真から何か用事があるのかと思ったが、電話に出るとすぐに福井斗真は尋ねた。「凪ちゃん、会社に来たの?」
「どうしてわかったの……」安藤凪は少し驚いた。福井斗真は一秒ほど間を置いて続けた。「君が会社に来たことだけじゃなく、道中で安藤羽音に会ったことも知っているよ。君と安藤羽音が会社の入り口で対峙している場面が誰かに撮影されてネットに上がっている。凪ちゃん、今安藤玄のアパートにいるんだろう?迎えに行くよ」