「安藤支配人、このネット上の件について……実は私たちも真相を知っているんです。本来ならネット上の騒ぎなど気にしないつもりでしたが、あまりにも世論が大きくなりすぎて、すでに我が社の株価にまで影響が出ています。これは……安藤支配人の方で何か解決策はありませんか」
黄田社長の声が電話越しに聞こえてきた。安藤玄がほっとしたのは、黄田社長がネット上の世論をすぐに解決できないからといって、彼らにチャンスを与えずに契約を解除するようなことはしなかったことだ。もし黄田社長が今、契約解除を主張したとしても、彼は諦めるしかなかっただろう。結局のところ、契約書には白黒はっきりと書かれているのだから。
「黄田社長、ご安心ください。あと三日、いえ、二日時間をください。必ずこの問題を早急に解決します」