第415章 あなたには関係ない

福井斗真はこの時、目を閉じて佐藤強の悲鳴を聞いていた。

そのとき、彼の携帯電話が突然鳴り始めた。福井斗真は眉をひそめ、携帯を取り出して安藤凪からの着信を確認すると、さっと立ち上がった。彼は手で合図をして、ボディガードに殴るのを止めさせ、電話に出た。

傍らにいた安藤玄は福井斗真を不思議そうに見ていたが、彼が電話に出て、非常に優しい声で「凪ちゃん」と呼ぶのを聞くと、彼も急に立ち上がった。彼は福井斗真の方向に二歩近づき、心の中は猫の爪でひっかかれたように、むずむずしていた。

姉さんが目を覚ましたのか？

安藤玄は焦って、その場でぐるぐると回っていた。

福井斗真はこの時、安藤玄のことなど全く気にかけていなかった。安藤凪の声が電話の向こうから聞こえたとき、普段は感情を表に出さないこの男の目が潤んだ。彼は携帯電話をしっかりと握り、自分の口元に近づけた。まるでそうすることで安藤凪に少しでも近づけるかのように。