高橋雅子は顔を上げて福井斗真をちらりと見た。「もう手遅れよ、あなたが出てくるまでに。小さい方が解決できなくて、大きい方が来たってわけ。何様のつもり?自分が偉いとでも思ってるの?顔を合わせたくないだの何だの、誰に嫌味言ってるつもり?」
福井斗真はそれを聞いて、階段を降りる足を少し止めた。
「何を見逃したんだ?何が大きいとか小さいとか、どうした?林ウェリムの父親が来たのか?何があったんだ?」福井斗真が今一番後悔していることは、夜に頭痛がして少しベッドで横になっていたせいで、こんな大きな出来事を見逃したことだった。
安藤凪はゆっくりと落ち着いて説明した。
傍らの高橋雅子は親指を立てて言った。「凪ちゃん、すごいわ!さっき石社長があなたにやり込められて何も言えなくなってたわ。福井社長も出る幕がなかったくらいよ」