福井佳子はいつものように傲慢で、自分の無実を証明できる証拠を持っていた。
かつて、自分が力を持った後、真っ先に自分を間違って福井斗真の部屋の前に送った人物を探し出し、その人から完全には破棄されていなかった監視カメラの映像と、安藤羽音が自分を陥れるよう仕組んだことを認める証言を入手していた。
安藤国彦と広瀬慧美の二人が、母親を人質に自分を福井斗真と結婚させようとした時の、母親の治療を断つと脅した映像や録音も保存していた。
これらの証拠は確かに自分が無実の被害者であることを証明できるものだが、この件は自分と福井斗真二人に関わることなので、福井斗真と相談してから行動に移したかった。
安藤凪はしばらく考えてから、福井斗真のオフィスへ向かった。
安藤凪が福井斗真のオフィスのドアに着いたとき、ドアが完全には閉まっておらず、中から高橋鐘一の声が聞こえてきた。彼女がドアの隙間から中を覗くと、高橋鐘一が福井斗真の前に立って何かを報告しているのが見えた。かすかに「ライブ配信」や「アカウント停止」などの言葉が聞こえた。