「本当のことを言っているの?」福井斗真の緊張していた体がこの瞬間に緩んだ。彼は顔を上げて安藤凪を見つめた。安藤凪は彼の目が少し赤くなっていることに気づき、急いで頷いた。
「本当よ。あなたからのプレゼントだけが私の一番好きなものなの。それに、さっき雅子に黄色いバラをゴミ箱に捨てるように言ったわ。ごめんなさい、あなたからのものだと思ってしまって」
福井斗真は軽く首を振った。「謝るべきは僕の方だ。凪ちゃん、もっと早く花を贈るべきだった。もっと早くしていれば、他の男に先を越されることもなかった。鈴木湊は意図的に僕たちを不快にさせようとしているんだ」
そう言いながら、彼は一気に安藤凪を抱きしめた。安藤凪は少しよろめいて、彼の胸に倒れ込んだ。男性の身体から漂う杉の香りが彼女を安心させ、彼女は福井斗真の肩に寄りかかった。